・ビルメンテナンス業における主なリスクとして以下が挙げられる
 -人材確保・育成の失敗、労働生産性の低下
 -労働災害とそれに伴う使用者賠償責任リスク
 -市場の成熟による価格競争の激化、需要の減少
 -火災・自然災害災による財産損失
 -PL事故、業務中の第三者賠償、作業対象物の破損・汚損・盗難
 -自動車移動中の事故
・PL事故、業務中の第三者賠償事故に備えて、生産物賠償責任保険と請負業者賠償責任保険による補償が有効。作業対象物の破損などは受託者賠償責任保険などで対応可能であり、保険金額は作業を行う場所によって高低を検討
・必要に応じて、機械保険・コンピューター総合保険、火災保険・地震保険も検討
・高頻度で労働災害が発生する恐れがあるため上乗せ労災保険を準備し、使用者賠償責任を問われる可能性に備えて使用者賠償責任保険を検討
・自動車保険の付保が求められ、マイカー通勤を許可している場合は従業員の自動車保険の内容も確認

その他懸念されるリスク等ございましたら、簡易分析シート で診断をすることができます。

ビルメンテナンス業の特徴的なリスク

ビルメンテナンス業はビルオーナーからビルの清掃、設備管理、警備などを総合的に請け負う業種であり、環境衛生管理(清掃管理業務、衛生管理業務)、設備管理業務(運転保守業務)、建物・設備保全業務(点検設備業務)、保安業務、警備防火業務等に分けられます。
また、業態としては3種類に分けられ、1)独立専業型(ビルメンテナンスのみを専業とし、不特定多数の顧客からサービスを受託のうえ、清掃管理業務、保管管理業務のみといったようにサービス内容を特化する企業が多い)、2)大手企業の系列型(電鉄・ゼネコン・不動産等の大手企業がビル管理部門を分社化して事業を行うケース)、3)特殊団体の系列型(官公庁の外部団体の関連会社として当該団体を主要顧客として事業を行うもの)に大きく分かれます。
ビルメンテナンス業の特徴的なリスクとしてはじめに挙げられるのが、人材に関するリスクです。
突発的に巨額の損失をもたらす可能性は少ないものの、発生頻度は高く、少しずつ企業を衰退させ、致命的なリスクに至る場合もあるため注意が必要です。特に人材の確保・育成は労働集約型産業として大きな課題あり、人件費割合が高いため、労働生産性の低下やコンプライアンス違反の懸念も避けることができません。
労働災害も相対的に強度は低い傾向にあるものの、高頻度であり、業務上の安全配慮義務違反を問われて使用者賠償責任を負うケースが考えられます。
業界環境の視点で見たリスクは、市場(マーケット)の成熟に伴う価格競争の激化が挙げられます。
長期的な視点で見たリスクは、少子高齢化テレワークや在宅勤務の浸透によるオフィス需要の減少や病院・官公庁・福祉施設や学校などの閉鎖や縮小が考えられます。また、ニーズの多様化、高度化および、それに伴う業務の複雑化・高度化によるコスト上昇、高層・高機能ビルヘの対応が求められます。
発生頻度は低いものの、大きな影響を与えるリスクとしては地震・火災等による自社および顧客の財産損失が考えられ、特に大規模災害時には収入減少を伴う大きな影響が予想されます。
業務に起因するものとしては、移動中の自動車事故や、業務に起因して発生するPL事故、契約に基づく業務中の第三者賠償リスク、メンテナンスの対象物の破損・汚損・盗難等が挙げられます。

具体的なリスク対策

市場の成熟による価格競争の激化とニーズの多様化・高度化が進展するビルメンテナンス業で生き残るためには、まず収益率を高め、差別化を図るためのサービス品質の向上に取り組むことが鍵となるでしょう。値下げへの圧力が高まる清掃や警備サービスだけに焦点を当てるのではなく、高付加価値サービスを導入することにより収益改善を図る一助となるかもしれません。
具体的にはビルメンテナンス業務の効率化を推進する「ファシリティーマネジメント」や投資物件の資産価値を高める「プロパティーマネジメント」、ビルオーナーの代わりにビル事業を総合的に管理・運営する「ビルマネジメント業」等の周辺業務に参入し、収益源の多様化を図るケースもあります。
もう一つは人材の確保と育成であり、人在の有効活用による労働生産性の向上です。業務の効率化のためには業務改善を行い、簡素化・標準化を進めることによって各担当者のサービス品質の差異を埋め、均一化を進めることが重要です。
そのようなポイントを踏まえたうえで大きな課題となるのは優秀な人材の確保です。人件費が企業収益に大きな影響を与えるため、従業員の多能工化、少数精鋭化を進め、総合的な人件費を抑制することにより収益性を高めることが求められます。
また、従業員がいきいきと働くことは労災事故の減少や生産性の向上にも繋がってきます。戦略的な人事制度を導入することが経営の大きな鍵を握ることになるでしょう。

ビルメンテナンス業における保険の活用

ビルメンテナンス業における保険の活用については。まず業務に起因して発生するPL事故に備えて生産物賠償責任保険(間接損害担保特約等も要検討)、業務中の第三者賠償事故に備えて請負者賠償責任保険が一般的でしょう。さらに作業中に想定される作業対象物の破損・汚損等に対応するためには受託者特約および管理財物特約等で備えることが可能です。
メンテナンスを行う場所によっては、高額な機械や設備・商品が備えられているケースもあるので、それらを考慮して保険金額を設定します。また、作業現場の移動に伴う自動車事故に備えて自動車保険のみならず、従業員のマイカー通勤を許可している場合は、従業員の自家用車の保険内容についても確認を取る必要があるでしょう。また、自社に建物等の資産がある場合は地震・火災等に対する火災保険や拡張担保での地震保険による補償が有効です。
ビルメンテナンス業においてもコンピュターシステムによるセキュリティーを導入している会社も多いため、機械保険・コンピューター総合保険の活用も検討できるでしょう。労働集約型の業界であることから、労働災害に対する備えも必要です。自社の福利厚生規程に基づいた上乗せ労災保険、安全配慮義務違反や労働基準法等の法令違反による民事上の使用者賠償責任を問われる恐れに備えて使用者賠償責任保険の活用により、安心して事業運営に取り組むことができるでしょう。

その他懸念されるリスク等ございましたら、簡易分析シート で診断をすることができます。

※このご案内は概要を説明したものです。詳しい内容につきましては、取扱代理店または引受保険会社までお問い合わせください。