・土木工事業における主なリスクとして以下が挙げられる
 -需要・受注価格など景気変動がもたらす影響
 -公共事業の受託に際する履行保証金
 -民間企業からの受注における貸倒れリスク
 -労働災害および安全配慮義務違反がある場合の使用者賠償責任リスク
 -火災・爆発・地震に起因する損害
 -コンプライアンス違反による取引停止、許可取消
財務面の強化による低価格の実現と品質・安全レベルの向上が安定受注に繋がる
・一般に履行保証保険は引受基準が厳しいため、複数の保険会社を活用して引受枠確保
・貸倒れリスクの対策の一つとして取引信用保険の付保を検討
・労働災害に備え上乗せ労災および安全配慮義務違反がある場合には使用者賠償責任保険を付保するなどの対策を講じ、下請従業員を含めるなど補償対象を拡大して安心・安全の職場環境を整備
・自然災害による工事物などの損害は土木工事保険による補償を活用するが、ただし、リース品の損害は対象外であるため、特にパッケージ化された保険商品の場合は補償の範囲を確認
・事務所建物の火災・爆発は火災保険を活用して対応

その他懸念されるリスク等ございましたら、簡易分析シート で診断をすることができます。

土木工事業の特徴的なリスク

土木工事業とは、ダム・河川・トンネル・道路・区画整理・下水道・橋・鉄道等の様々な建設物を総合的な企画・指導・調整のもとに建設する事業であり、基本的には公共工事に依存する業界です。
土木工事業全体が抱えるリスクとして、景気変動に伴う需要の減少や競争激化による受注価格の下落、建設資材(労務費等)の高騰が挙げられます。
特に特徴的なリスクとなり得るのは、履行保証金等の支払いによる財務状況の圧迫です。公共工事等を受託する際に発注者から求められる保証を提供しなければ工事を受注することができず、大きな収益機会を逸することになりかねません。
また、公共事業には自社の業務中断リスクに対する補償負担、民間の受注先には倒産による貸倒れリスクを負わなければならない現状があります。労働災害も多く、安全配慮義務違反がある場合は使用者賠償責任を問われることもあります。移動中の自動車事故や事業遂行に関わる賠償責任事故、財産損失事故等も念頭に置かなければなりません。
賠償責任は工事中の第三者賠償事故と引き渡し後の第三者賠償事故に大きく分けられます。財産損失については、自社の物件が損害を被る場合と工事対象物が損害を被る場合が考えられ、その原因として、地震や自然災害(台風・豪雨等)、火災・爆発等が考えられます。
また、建築業法や廃棄物に関わる法律を遵守せず、コンプライアンス違反を犯した場合は取引停止や行政処分のみならず、土木工事業の営業許可の取消、営業・指名停止等の処分を下される恐れがあり、十分な注意が必要です。

具体的なリスク対策

2009年4月以降に始まる会計年度分から、会計基準が従来の「工事完成基準」と「工事進行基準」の選択制から「工事進行基準」が強制適用となりました。
「工事進行基準」とは工事を開始してから完成するまで、進捗に応じて売上や費用を計上する会計ルールであり、恣意性が働きやすい面があるため、各社は厳格な採算管理が求められることになります。選ばれる企業となり、厳しい状況を勝ち抜くには、価格面・品質面における競争力を持つことが重要です。
経営の黒字化によって財務状況を改善し、低価格を実現して契約履行の信用を構築すること、安全第一の業務遂行を実現するためにリスク管理を徹底することが求められます。
信頼性構築を目的として地震や自然災害(台風・豪雨等)、火災や爆発に備えたBCPを構築して競合他社との差別化を図ろうとするケースもあるようです。
業務中や引渡後の第三者賠償や労災事故を起こさないための品質管理・安全管理についてもより高度な要求に応える備えが欠かせません。
大事件・大事故の発生は入札停止や取引停止に繋がるばかりか、コンプライアンス違反が絡めば営業許可の取消という事業存続の危機に直面する恐れがあります。
財務面の強化による価格競争力と信用構築、業務における信頼を高めるための品質・安全レベルの向上が安定受注に繋がります。
また、少子高齢化によって将来的に人材確保が困難になることが予想されるため、早期に若手技術者を確保・育成し、技能向上に努めることが肝要です。

土木工事業における保険の活用

土木工事業における保険の活用について解説します。
工事中の第三者賠償事故に対する請負業者賠償責任保険、引渡後の第三者賠償事故の対策として、生産物賠償責任保険が重要な役割を果たします。ただし、例えば地盤の崩壊や隆起に友なる事故など、想定し得る事故であっても免責事項に該当するケースもあるため注意が必要です。自然災害(台風・豪雨等)による工事物そのものや資材等の損害は土木工事保険で補償されますが、足場などのリース品の損害は対象となりませんので気を付けたいところです。
また、土木建設業者向けにパッケージ化した商品が販売されているものの、例えば上述のリース品と取扱いをはじめ補償範囲は保険会社ごとに大きく異なるため注意が必要です。
公共工事を行う会社にとって非常に重要となる履行保証保険は、引受基準が全般的に厳しくなっており、複数保険会社での引受枠の確保などの対策が求められます。
労働災害には上乗せ労災保険を活用し、使用者賠償責任に関しては使用者賠償責任保険を用いて備えることができます。ただし、従業員以外(下請等)に対しても安全配慮義務違反を問われるケースも出てきている現状から、従業員だけでなく、日雇、下請業者の従業員などまで広く補償対象となるようにニーズに合わせて対応します。
事務所建物の火災・爆発に備える火災保険、マイカー通勤も含めた自動車事故に対する自動車保険、貸倒れリスクに対応する取引信用保険の付保もリスク対策の一つとして有効でしょう。

その他懸念されるリスク等ございましたら、簡易分析シート で診断をすることができます。

※このご案内は概要を説明したものです。詳しい内容につきましては、取扱代理店または引受保険会社までお問い合わせください。