Clinic

Risk Controlリスクコントール

  • 特定健診や保健指導を新たな収入源にするなど、医療制度改革に柔軟に対応

Risk Financingリスクファイナンシング

  • 火災・自然災害に備え、火災保険や地震保険を検討、逸失利益をカバーする休業補償保険を活用
  • 医療行為に起因する損害賠償リスクは医師賠償責任保険を活用
  • 食中毒リスクには生産物賠償責任保険を活用した対策を検討
  • 個人情報漏洩リスク対策としてサイバー保険を活用
  • 医師が少ない診療所は、生命保険や所得補償保険の活用を検討

Risk Control
リスクコントール

損失の発生頻度と大きさを削減する方法

Risk Financing
リスクファイナンシング

保険等、第三者に金銭的な負担(リスク転嫁)または自己負担できるよう積み立てる(リスク保有)ことで損失を補てんする方法

リスクコントロールにより、損失を削減し、リスクファイナンシングの実行でより効果的な対策ができる

診療所の特徴的なリスク

診療所の特徴的なリスクとしては、まず、診療報酬の改定や薬価等の変動を含めたさまざまな医療制度の改定があげられます。2018年は診療報酬が0.55%引き上げられましたが、薬価・診療材料は1.65%の引き下げとなったため、全体では1.1%のマイナス改定となりました。今後も医療政策の動向を予測した上で対応策をとり、制度改定による影響を最小限に抑えることが重要です。基本的に小規模で地域に根差した医療に取り組む診療所としては、医師の死亡・就業不能は、致命的なリスクであり、近隣での競合の開業も売上に大きな影響を与えると考えられます。また医療過誤や院内感染といった医療にかかわる事件・事故も賠償責任に留まらず、風評被害当に繋がり、致命的な損失をもたらす可能性が高いでしょう。天災(地震・台風等)、火災・爆発等の発生についても建物や高額な医療設備の損失に留まらず、復旧までの休業損失に繋がることで巨額の損失が発生することが想定されます。医療行為以外でも個人情報の漏えいや食中毒の発生、施設事故(賠償責任等)等によって賠償請求を起こされる可能性もあることから、職場の情報管理・衛生管理等については厳しく対処することが重要です。人材に関わるリスクとしては、労働災害(使用者責任含む)の発生や雇用トラブル等が考えられますが、いずれも医師・看護師の不足に繋がるため、致命的な損失にならないように事前に備えることが必要です。

診療所の具体的なリスク対策

今後の医療制度の方向性を考えると、医療費抑制施策が推進され、病院に手厚く診療所に厳しい結果が予想されますが、その変化に柔軟に対応することが生き残りのカギを握ります。まずは、病院勤務医の負担軽減措置として、夜間緊急外来に対応した措置である時間外加算を利用し、診療時間の延長によって収益増を考えることができます。また、後期高齢者医療制度による「高齢者担当医」としての活動や平均在院日数の短縮に向けた在宅医療支援診療所に取組むことも有効と考えられますし、特定健診・保険指導の積極的な活用により、「疾病予防」という概念を診療所の新たな収入源にすることも可能です。地域密着型医療を実践すべき診療所としては、総合的に疾病治療や予防に携わる地域全体の「かかりつけ医」になることが重要です。そのため、今後は情報発信を主眼とした院外活動の活発化も課題であり、健康教室の開催やフリーペーパーの作成、関連職種との勉強会の開催等を積極的に行うことが大切です。また、行政コストの削減や進展する高齢化社会の中で、郊外型の都市開発から中心市街地の再開発等へと政策が転換しており、居住地域や人の流れも徐々に変化することが予想されます。医療費の伸び抑制を目的とした在宅医療や予防医療の分野において診療所開業医の果たす役割は大きく、さまざまな制度改革に柔軟に対応し、診療所の経営戦略を検討することが、今後の診療所経営のポイントです。

診療所における保険の活用

診療所における特徴的かつ保険の活用が重視されるリスクとしては、医療過誤や院内感染といった、医療行為から引き起こされる損害賠償責任が挙げられます。幸いにして日本国内ではそれほど高くはない保険料(年間数万円程度)で「医師賠償責任保険」に加入できますが、それがいつまでも続くとは限りません。訴訟大国のアメリカでは医療過誤に関する訴訟が1970年代から深刻な社会問題となり、保険料の高騰(年間の保険料が数十万ドルというレベル)や保険会社の医師賠償責任保険からの撤退という事態を招きました。医療行為に関わる賠償責任保険については、引受が厳しくなる可能性を想定しできるだけ事故の起きない安全な環境を整え、事故発生時に円滑に対応できる準備を行い、損失を吸収出来る財務基盤を構築することも求められます。医療事故における損害賠償請求は、早期に認識できるものと時間を要するものがあるため、「事故の認識(発見基準/請求基準)」に留意し、約款等を確認することも重要です。また、火災保険や地震保険、労災事故や施設事故、情報漏えいや食中毒に関わる賠償責任はもちろんですが、医師の病気や死亡に関わる長期休業もしくは火災や天災時の休業損失についての補償を忘れずに用意することも重要です。特に医師が少ない診療所については、一人の医師の就業不能が致命的な損失をもたらすため、生命保険や所得補償保険を用いたリスク対策が必要と思われます。

懸念するリスクがありましたら、リスク簡易診断(無料・登録不要)をお試しください。

※このご案内は概要を説明したものです。詳しい内容につきましては、取扱代理店または引受保険会社までお問い合わせください。