・診療所における主なリスクとして以下が挙げられる
 -診療報酬改定など医療制度改革による収入減
 -医師の高齢化と健康問題
 -医師や看護師の不足
 -競合診療所の開業
 -医療過誤や院内感染に伴う賠償責任リスク・風評被害
 -火災や自然災害による施設・設備の損失、休業損失
 -個人情報の漏洩・食中毒の発生
医療制度改革には柔軟に対応することが賢明。例えば、特定健診・保健指導を新たな収入源として積極的な活用
・医療行為に起因する損害賠償責任リスクは医師賠償責任保険を活用。保険約款に定められた「事故の認識(発見基準/請求基準)」を確認
・火災・自然災害に備え、火災保険・地震保険、逸失利益をカバーする利益保険を活用
・医師が少ない診療所は、生命保険所得補償保険の活用も検討
・食中毒のリスクは賠償責任保険を活用して対応
・情報漏えいリスクは個人情報漏洩保険を活用して対応

その他懸念されるリスク等ございましたら、簡易分析シート で診断をすることができます。

診療所の特徴的なリスク

診療所とは、入院のためのベッドを備えていない無床診療所と、備えていても20床未満の小規模な有床診療所とに分けられ、これらの医療施設は別名として「医院」や「クリニック」と呼ばれます。一方、病院は20床以上の中・大規模な医療機関を指します。
診療所の開設者は個人、医療法人、社会福祉法人、市町村立、国・都道府県の公的診療所、健保連・共済組合等の場合があるものの、個人の診療所が最も多く、次いで医療法人、社会福祉法人、市町村と続いています。
診療所の特徴的なリスクを解説します。
診療報酬の改定や薬価等の変動を含めた医療制度改革による影響は診療所に大きな影響をもたらします。医療政策の動向を予測して対応策をとり、医療制度改革による影響を最小限に抑えることが重要です。
国民医療費の上昇に伴う医療保険財政のひっ迫、それに伴う医療費の自己負担額増や消費税増額の動向も踏まえた事業運営が求められます。基本的に小規模で地域に根差した医療に取り組む診療所は、医師の死亡・長期休業、近隣での競合診療所の開業も経営上の大きなリスクです。また医療過誤や院内感染といった医療にかかわる事件・事故も賠償責任を訴えられたり、事故発生に伴う風評被害に晒され、致命的な損失をもたらすかもしれません。火災や自然災害(地震・台風等)は建物や設備の損失に留まらず、復旧までの休業損失が生じ、巨額の損失が発生する恐れがあります。
医療行為以外でも既往歴を含む個人情報の漏えいや食中毒の発生等によって賠償請求を起こされる可能性もあることから、診療所内の情報管理・衛生管理の徹底が求められます。その他のリスクとしては、労働災害や医師・看護師の不足、施設賠償責任、窃盗(現金・設備等)等が想定できますが、いずれも致命的な損失にならないように事前に備えることが必要です。

具体的なリスク対策

医療制度改革の中で行われる医療費抑制施策により起こり得る診療所における収入減リスクへの対策を検討しておきたいところです。
夜間緊急外来での時間外加算に着目し、診療時間の延長による収益増を目指すことも一考です。また、後期高齢者医療制度による「高齢者担当医」としての活動や平均在院日数の短縮に向けた在宅医療支援診療所に取り組むことも有効です。また、特定健診・保険指導を積極的に活用し、「疾病予防」という概念に基く診断項目を診療所の新たな収入源として取り入れることも可能です。
そもそも地域密着型医療を実践する診療所は、総合的に疾病治療や予防に携わる地域全体の「かかりつけ医」としての機能も重要です。
例えば、情報発信をはじめとした院外活動の活性化や、健康教室の開催やフリーペーパーの作成、関連職種との勉強会の開催等を積極的に行うことにより、更なる地域貢献が叶い、より強固な地盤が築けるのではないでしょうか。
また、医療費抑制や進展する高齢化社会の中で、郊外型の都市開発から中心市街地の再開発へと政策が転換しており、居住地域や人の流れも徐々に変化することが予想されます。医療費抑制を目的とした在宅医療や予防医療の分野において診療所開業医の果たす役割は大きく、さまざまな制度改革に柔軟に対応し、診療所の経営戦略を検討し、合わせてリスク対策も入念に策定することが肝要です。

診療所における保険の活用

診療所を取り巻くリスクの中で保険の活用が重視されるのは、医療過誤や院内感染などの医療行為に起因する損害賠償責任リスクが挙げられます。
幸いにして日本国内においては年間1万円程度の保険料(各地域の医師会提供商品より)でそれらのリスク対策として医師賠償責任保険を活用することが可能です。訴訟大国のアメリカにおいては医療過誤に関する訴訟が1970年代から深刻な社会問題となり、保険料の高騰(年間の保険料が数十万ドルというレベル)や保険会社の医師賠償責任保険からの撤退という事態を招きました。
日本においても将来的に医療行為に関わる賠償責任保険の保険料の高騰や引受が厳しくなる可能性はゼロではありません。事故の起きない安全な環境作りや損失を吸収出来る財務基盤を構築することが求められます。
賠償責任保険は「事故の認識(発見基準/請求基準)」に注意しなければなりません。医療事故における損害賠償請求は、早期に認識できるものと時間を要するものがあるため、保険約款を十分確認して補償内容を正しく把握する必要があります。
また、火災や自然災害(地震・台風等)発生時の建物・什器備品に対する火災保険や地震保険および休業損失に対する利益保険等を活用した対応が可能です。医師が少ない診療所では、医師の死亡・長期休業によって休業損失が発生する恐れがあり、生命保険や所得補償保険を用いたリスク対策が必要でしょう。
その他、労働災害や施設管理に起因する事故、食中毒等のリスクに対しては賠償責任保険、情報漏えいリスクに対しては、個人情報漏えい保険の活用も効果的です。

その他懸念されるリスク等ございましたら、簡易分析シート で診断をすることができます。

※このご案内は概要を説明したものです。詳しい内容につきましては、取扱代理店または引受保険会社までお問い合わせください。