・歯科医院における主なリスクとして以下が挙げられる
 -医師の増加、虫歯のある子どもの減少による過当競争
 -診療報酬の引き下げや法律の改正
 -火災や天災による建物や設備のき損
 -個人歯科医院院長の健康問題
 -施設内における転倒事故など患者のケガと施設賠償責任
 -労働災害と使用者賠償責任
 -見逃せない医療過誤のリスク
・過当競争は、他院との差別化、ニーズの汲み取りで対応が可能。
・建物・設備が高額になる傾向があるため、火災保険・地震拡張補償は有効。収入減少に備え利益保険なども準備をしておきたい。
・個人歯科医院は、院長の生命保険、所得補償保険が有効。
・施設の欠陥に起因する患者のケガなどに備え、施設所有管理者賠償責任保険を準備しておきたい。
・労働災害は上乗せ労災保険で対応し、安全配慮義務違反などに備えて使用者賠償責任保険も検討する。
医師賠償責任保険は支払条件を確認しておくことが重要。

その他懸念されるリスク等ございましたら、簡易分析シート で診断をすることができます。

歯科医院の特徴的リスク

歯科医院の特徴的なリスクとして、すでに業界内において顕在化している医師の増加による過当競争と虫歯のある子どもの減少による治療需要の減少、予防ニーズへの移行によるニーズの変化等が挙げられます。
また、業界特有のリスクとして、報酬単価の変更をはじめとした法律改定なども考えられます。
影響度が大きいリスクとしては、社会問題にもなっている医療過誤が考えられるほか、個人経営の診療所が歯科医院の大部分を占めている現状から、院長の死亡・長期離脱も大きな影響を与えるリスクであると考えられます。
地域密着型の特性から近隣に歯科医院が開業する等の立地・周辺環境の変化も影響が大きいでしょう。
一般的に、新規開業や新しいニーズへの対応には設備投資が伴うため、過剰投資に注意し、それらの資産を地震・火災等から守ることも考える必要があります。施設内での事故としては、施設等の欠陥に起因したケガを患者が負った場合には、施設賠償責任、労働災害が発生した場合は使用者賠償責任を問われることもあります。
影響度は低いながらも発生頻度の高いリスクとしては、設備の老朽化や患者とのトラブル、医療機器の破損、人材の確保・育成等が挙げられますが、いずれも単独の事故では大きな損害には至らないものの、老朽化の放置やトラブルの頻発、人員の教育不足はサービス品質の低下と風評被害をもたらし、結果として大きな損失に繋がる可能性があるため、日頃からの備えが必要です。

具体的なリスク

医師の増加と治療需要の減退による過当競争に勝ち抜くためには、単なる医療技術だけでなく、経営手腕が問われます。独自性を出して差別化を図ると同時に新しいニーズに敏感に対応していくことが肝心です。
具体的には短期間で治療する方法で患者を獲得したり、事前にカウンセリング等で状態を確認し、治療の計画書を作成したり、忙しい人のために早朝治療を行ったりする歯科医院もあります。また、矯正やインプラント等の専門分野の医師を配置し、チームとして患者の幅広いニーズに応える工夫をしている歯科医もあります。
患者の満足度の向上を目指して、患者との円滑で的確なコミュニケーションを図り、患者のニーズのトレンドを速やかに取り入れることにより差別化を図ろうとする歯科医や、医療過誤問題に対応してセカンドピニオンを取り入れる歯科医も増えています。
また、医療ニーズから予防ニーズへの変化等に柔軟に対応するために、治療から予防診療へのシフトを行う歯科医も増えており、診療報酬単価等に左右されない経営体制の構築も求められています。
発生の頻度は低いものの、影響度の大きいリスクに対しては、保険を活用することが多く、事故の発生は思いもよらぬ風評リスクに繋がるため、様々なリスクコントロールの対策を検討すべきでしょう。
影響度が低く、発生の頻度が高いリスクについては、日々の設備の老朽化サービス、人材活用の各位状況を把握し、日常の中でリスク管理を意識しながら業務を遂行する必要があります。最近では歯科医院の評判を検索サイトで確認してから訪れる患者も増加していることから、多機能携帯端末を活用した予約システムの導入や診療内容をわかりやすく説明するソフトの導入等により、患者の歯科治療に対する不満解消や満足度向上にも役立てたいところです。

歯科医院における保険活用

歯科医院の多くが個人経営の診療所であるため、院長自身に対する経営依存度が非常に高く、院長の死亡・長期離脱を補償するための生命保険、歯科医としての仕事が出来なくなったことに対する所得補償保険は有効です。また、歯科医の欠員による労働環境の著しい変化が予測されるため、労働災害に備える上乗せ労災保険や安全配慮義務違反等が指摘された場合に備えて使用者賠償責任保険を準備することも視野に入れるべきでしょう。
歯科医院は専門の機械設備を必要とすることから、リース等の契約内容(補償の有無)を確認することを前提として、高額になりがちな建物や設備に対する火災保険や地震拡張補償とともに、休業による収益減少や固定費の支払財源の確保のための利益保険等を備えることが事業継続の一助となるでしょう。また診療所内での転倒事故や看板の倒壊等による事故などを想定して、施設所有管理者賠償責任保険も準備しておくことが肝要です。
差別化要素の一つとして積極的な情報発信、動向調査などを取り入れている医院も増えていることから、患者の個人情報や機微情報の漏洩に備えて個人情報漏えい保険の購入も対策の一つになり得ます。
最後に、医療過誤のリスク対策の一つとして挙げられる医師賠償責任保険については、支払条件に誤解や不明な点がないように歯科医院と保険会社双方できちんと確認しておくことが重要です。業界団体の制度によって団体引受と、個々の歯科医院で単独で契約する場合があります。医療過誤の社会問題化を背景に、保険会社の引受は限定される傾向があるため注意が必要です。

その他懸念されるリスク等ございましたら、簡易分析シート で診断をすることができます。

※このご案内は概要を説明したものです。詳しい内容につきましては、取扱代理店または引受保険会社までお問い合わせください。