・不動産賃貸業における主なリスクとして以下が挙げられる
 -景気減退、競争力の低下、地価の下落などに伴う賃料低下
 -資金調達力の減退
 -法律改正の影響
 -火災、自然災害による損害
 -施設内で起こる事故・事件が招く風評被害
 -入居者とのトラブル、入居者間のトラブル
 -相続関連のトラブル
・自社では制御不能な外的要因による賃料低下のリスクには、他の物件との差別化や施設の改修などを通して対応
・火災には火災保険を付保して対応し、保険価格の設定・補償の範囲・保険期間の十分な確認と検討が必要。
・施設内における事故・事件が招く風評被害への備えとしてセキュリティ対策が有効。施設所有管理者賠償責任保険なども検討し安心・安全な住環境を提供
・入居者関連のトラブルは、弁護士に賃貸契約内容などを相談することにより対応が可能であるが、入居審査を厳格化し、トラブルの種になる入居者への対応の工夫も有効

その他懸念されるリスク等ございましたら、簡易分析シート で診断をすることができます。

不動産賃貸業の特徴的なリスク

不動産業賃貸業は業務内容によって大きく開発分譲、賃貸、流通、管理の4つの分野に分けられます。ここではビルやマンションオーナーの不動産賃貸業について考察します。
基本的に不動産業は事業規模の格差が著しい業界であり、一部の大手・中堅会社を除くと、大部分は零細・家族個人経営です。法人化が進んではいるものの、その大半は個人事業同然の経営を行っています。
不動産賃貸業の特徴的なリスクを解説します。
賃料の低下は収入に直結するリスクです。景気の減退による賃料の値下げ、施設の老朽化による近隣施設との競争力の低下、地価の下落に伴う平均賃料水準の低下等が挙げられますが、それ以外の要素として地域の地盤沈下をはじめとした環境に左右される要因も少なからずあると言えます。
一般に不動産業の大企業や中堅企業の業態は金融機関への依存度が高く、資金調達力の減退は経営に大きな影響を及ぼします。また、耐震偽装による建築基準法の改正や更新料についての無効判断等があったように、法律改正も個人から中堅、大企業おしなべて不動産経営に大きな影響を与えるため注意が必要です。
大きな財物損失をもたらす火災や天災(地震・台風等)、施設の欠陥による水漏れ等の施設賠償責任リスクは代表的な影響度の高いリスクです。
また自殺や犯罪をはじめとした施設内における事件・事故が招く風評被害は、家賃収入を大きく失うことに繋がります。同族経営等の場合は相続絡みで株主代表訴訟等が起きるケースもあるので、注意が必要です。
多様化する消費者ニーズにIT化やセキュリティ対策の導入など対応を迫られおり、仮に対応ができなければ競争力を失うことが想定されます。また、家賃未納や敷金返金額等の金銭に関わる入居者とのトラブルや、喧嘩・騒音・反社会的な活動などによる入居者間のトラブルも積もり積もって風評被害を招き、物件価値の下落や賃料低下などの大きな損失に繋がるため注意が必要です。

具体的なリスク対策

入居率の上昇や更新率の向上は収入増をもたらします。
自社で制御できない景気減退や地価下落、地域の地盤沈下、消費者ニーズの変化等の「外的要因」に伴う賃料の低下リスクに対応するためには、競争力を維持できる差別化要因や消費者ニーズへの対応が重要です。可能なかぎり施設の老朽化を食い止めるとともに、修繕や建替え費用の積み立てを行い、健全な財務基盤を前提とした資金調達力を持つことが重要です。
特に立地条件が悪い場合には新しいニーズに対応したIT対応オフィスビルや起業家支援用のスモールオフィス、耐震強化マンション、シルバー向けマンションのような差別化要素を明確に打ち出すことが賢明です。
火災や地震、施設賠償責任については保険を活用した対応が一般的であるものの、ハード/ソフト両面の安全性や快適性の高さもひとつの差別化要素であり、防火壁や火災報知器、耐震構造化や緊急地震速報の設置、給排水システム、空調システム等ヘの投資も十分検討に値するでしょう。また、施設内での事件・事故が招く風業被害についても同じようにセキュリティ(機械警備・防犯カメラ等)対策を検討すべきでしょう。
同族会社等の場合は、相続計画をしっかりと立てることによって株主代表訴訟を回避できるようにします。
入居者や入居者間のトラブルについては、家賃の支払能力や社会的信頼性の確認を通して、入居者の選択を行うことも予防策の一つです。入居時の賃貸契約内容についても弁護士にあらかじめ相談のうえ、更新時や賃料改定、または災害・事故発生時の運用についても事前に確認しておくことが肝要です。

不動産賃貸業における保険の活用

不動産賃貸業で重要な経営資源は不動産(建物等)です。
不動産(建物等)が火災や自然災害(地震・台風等)等が引き金となり滅失・破損・汚損した場合に発生する資産の減少や対応費用の増加に備えて火災保険や地震保険の付保を検討が有効です。
しかし、昨今の大規模災害の頻発により保険会社の引受姿勢に変化が見られるため、地震リスクや水害リスクの引受けについてはあらかじめ確認する必要があります。
建物等への火災保険を購入する際には、保険価格設定(再調達価格/時価)や補償範囲や保険期間について入念に調べ、ニーズに合った商品を選択すべきです。
また、一般に借入金の多い業態であるため、借入が残っている建物等については2重ローンを避けるために優先的な補償を準備するとともに、経営者の死亡や身体障害による業務不能に備えた生命保険の付保も検討すべきでしょう。
建物等については、単なる資産保全だけでなく、火災等によって発生した損害が賃貸収入減少の事態をもたらしかねないので、復旧までの期間に必要な資金を利益保険や家賃特約等で準備することができます。
また、施設内における事件・事故による施設賠償責任リスクに備えた施設所有管理者賠償責任保険の活用も検討に値します。
同族経営の会社であっても相続問題が株主代表訴訟にまで発展する可能性もあるため、必要に応じて会社役員賠償責任保険(D&O)の購入も検討する必要があるかもしれません。

その他懸念されるリスク等ございましたら、簡易分析シート で診断をすることができます。

※このご案内は概要を説明したものです。詳しい内容につきましては、取扱代理店または引受保険会社までお問い合わせください。