Risk Controlリスクコントール
- 過当競争には他院との差別化、ニーズの汲み取りで対応が可能
Risk Financingリスクファイナンシング
- 火災・自然災害に備え、火災保険や地震保険を検討
- 休業中の収入減は休業補償保険を検討
- 施設の欠陥に起因する患者のケガなどに備え、施設所有管理者賠償責任保険を準備
- 医師賠償責任保険は支払い条件を確認しておくことが重要
- 安全配慮義務違反などに備えて使用者賠償責任保険も検討
- 労働災害に備え、上乗せ労災保険を検討
- 個人歯科医院は、院長の生命保険、所得補償保険が有効
Risk Control
リスクコントール
損失の発生頻度と大きさを削減する方法
Risk Financing
リスクファイナンシング
保険等、第三者に金銭的な負担(リスク転嫁)または自己負担できるよう積み立てる(リスク保有)ことで損失を補てんする方法
リスクコントロールにより、損失を削減し、リスクファイナンシングの実行でより効果的な対策ができる
歯科医院の特徴的なリスク
特徴的なリスクとしてまず挙げられるのは、既に業界内において顕在化している医師の増加による過当競争と虫歯のある子どもの減少による治療需要の減少、予防ニーズへの移行によるニーズの変化等が挙げられます。また、業界特有のリスクとしては、報酬単価の変更等の法律改定なども考えられるでしょう。結果(損失の大きさ)が大きく、起こりやすさの低いリスクとしては、社会問題にもなっている医療過誤が考えられるほか、全体の84%が個人経営の診療所である現状から、院長の死亡・就業不能も大きな影響を与えると考えられます。地域密着型の特性から近隣に歯科医院開業等の立地・周辺環境の変化も影響が大きいでしょう。一般的に、新規開業や新しいニーズへの対応には新たな設備が必要なため、設備の老朽化・陳腐化に注意し、それらの資産を天災(地震・台風等)や火災・爆発等から守ることも考える必要があります。施設内での事故としては、施設等の欠陥によって患者がケガをする施設事故(賠償責任等)、労働災害(使用者責任含む)、個人情報の漏洩が考えられるので注意が必要です。結果(損失の大きさ)は低く、起こりやすさの高いリスクとしては、患者とのトラブル、医療機器の破損等が挙げられますが、いずれも単独では大きな損害には至らないものの、トラブルの頻発、人員の教育不足はサービス品質の低下と風評被害をもたらし大きな損失に繋がる可能性があるため、日頃からのケアが必要となります。
歯科医院の具体的なリスク対策
医師の増加と治療需要の減退による過当競争に勝ち抜くには、単なる医療技術だけではなく、経営手腕が問われます。独自性を出して差別化を図ると同時に新しいニーズに敏感に対応していくことが肝要です。具体的には短期間で治療する方法で患者を獲得したり、事前にカウンセリング等で治療の計画書を作成したり、早朝治療を行う歯科医院もあります。また、矯正やインプラント等の専門分野の医師を配置し、チームとして患者の幅広いニーズに応えている歯科医もあります。患者の満足度の向上のために、コミュニケーション能力やマーケティング能力を備えることで差別化を図る歯科医や、近年の医療過誤の問題に対応し、セカンドピニオンを取り入れる歯科医も増えています。また、治療ニーズから予防ニーズへの変化等に柔軟に対応するために、診療体制のシフトを行う歯科医も増えており、診療報酬単価等に左右されない体制構築を進めています。結果(損失の大きさ)の大きなリスクには、基本的に保険が必要ですが、事故の発生は風評リスクに繋がるため、事故を起こさない努力が必要です。起こりやすさが高いリスクは、日々のサービス状況、人材活用状況を把握し、日常の中でリスク管理を行う必要があります。最近は歯科医院の評判を検索サイトで確認する患者も増加しており、スマホ・携帯端末を活用した予約システムの導入や診療内容を説明するソフトの導入等で患者の歯科治療に対する不満解消や満足度向上を図っています。
歯科医院における保険の活用
歯科医院は8割以上が個人の診療所であり、院長に対する経営依存度が高いため、院長の死亡に対する生命保険や就業不能に対する所得補償保険の提案は必須となります。また、労働災害に備える労災総合保険等も必要な補償であると考えられ、安全配慮義務違反等が指摘された場合の使用者賠償保険(もしくは特約)を準備することも重要です。歯科医院では専門設備機械を必要とすることから、リース等の調達手段の契約内容(保証の有無)を確認することを前提として、高額になりがちな建物や設備に対する火災保険や地震拡張補償等及び長期の休業に備えて休業損害に対応する保険(収益や借入返済財源の確保)を準備することが事業の継続に不可欠となります。また診療所内での転倒事故や看板の倒壊等による事故なども想定されることから施設賠償保険も準備しなくてはなりません。近年は、差別化要素の一つとして積極的な情報発信、マーケティング活動をしている医院も増えていることから、患者の情報漏洩リスクに対して個人情報漏洩保険を提案しておくことも重要です。最後に、医療過誤のリスクに対しては医師賠償責任保険が必要不可欠ですが、支払条件は誤解のないように双方で確認しておくことが重要であり、引き受けについては業界団体の制度によるものと単独のものがありますが、近年の社会問題化の背景により保険会社の引受は限定される傾向があるため注意が必要です。
懸念するリスクがありましたら、リスク簡易診断(無料・登録不要)をお試しください。
※このご案内は概要を説明したものです。詳しい内容につきましては、取扱代理店または引受保険会社までお問い合わせください。